2019/11/14
蒼いノクターン (1966) ポール・モーリア
夜想曲=ノクターンといえばフレデリック・ショパンのピアノ曲が有名ですが、今回ご紹介するのはフランスの音楽家ポール・モーリアの『Nocturne《邦題:蒼いノクターン》』ロマンチック・オーケストラサウンドの名曲です。モーリアの音楽はイージーリスニングやポピュラークラシックなどと呼ばれるジャンルが中心で、気軽に楽しめる軽音楽:クラシックをアレンジしたものやオリジナル曲など幅広く、少人数の弦楽アンサンブルから大規模なオーケストラ、当時は最先端であったシンセサイザー等の電気楽器も取り入れ、新しいサウンドを世に送り出しました。彼がチェンバロ奏者であったことから、バロック音楽的な手法でチェンバロ(後期ではエレキチェンバロ)の音色を曲に取り入れたことも大きな特徴の一つです。
レコードやテレビ、コンサートが主な活動の場で、その範囲はフランスを始めイギリス、アメリカ、ブラジルなど世界に渡り、特に親日家であったことから日本では多くのコンサートを行いました。フランス本国ではどちらかというと”そこそこ知名度のあるアーティストの一人”といったところで特別にスターというわけではありませんでしたが、かの日本では昭和40年代後半にポール・モーリアブームが爆発し、来日コンサートは常に満席でチケット入手困難なほどでした。街をあるけばファンに取り囲まれ、大変な騒ぎとなっていたようです。1979年には徹子の部屋にも出演しています。甲州ワインと神戸ビーフ、SEIKOの時計がお気に入りだったそうですよ。
モーリアの曲で最も人気があるのは『恋はみずいろ』や『オリーブの首飾り』でしょうか。タイトルを知らなくても、曲を聞いたら何処かで耳にしたことがある…という方が多いと思います。2006年急性白血病により81歳で亡くなられたあとも、テレビやラジオではよく使用されています。『蒼いノクターン』はモーリア自身のお気に入りにの曲で、来日コンサートの時のアンコール曲として定番でした。優しく温かいモーリアのピアノが奏でるロマンチックなメロディとゴージャスなオーケストラサウンドが魅力的な作品で、当時”ラブ・サウンド”と評されたモーリアの音楽らしい”聴いている人の心に語りかけてくる”ような愛に満ちた一曲です。
マスターが子供の頃に通っていた音楽教室の先生が、発表会の最後に演奏されていたのが今でも記憶に残っています。あの美しい響きが、マスターの音楽の原点なのかもしれません。
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NO MUSIC, NO LIFE.
美味しいコーヒーと一緒に、音楽を楽しみましょう